「車輪の下」ヘッセ
この本は中学生のときに父に「読むべし」と言われていながら読んでいなかったものです。中学校の国語の先生も「読むべし」と言っていました。父と先生いわく、「思春期に絶対読むべき本」であると。
僕はもう思春期ではないし、子どももいるし、中肉中背中年男です。そんな僕ですが、ついに読了しました。
結果から言うと、すごく心に残る読書体験となりました。思春期じゃなくても、この本を読んで感じるところは大きいと思います。
物語は思春期にある少年、ハンス=ギイベンラアトの心の動きを中心に描かれます。
優等生であり、将来を嘱望された少年は優秀な成績で進学します。しかし、思春期の不安定な心と、周囲の大人たちの抑圧により、彼の歩みは悲劇的な結末へ向かっていきます。
読みながら僕の中の少年が悲鳴をあげているのを感じました。感じながら、僕の中の少年の部分に気づかされ、それを何とも愛しく感じました。
読書体験にはそれぞれ「適齢期」があると思います。僕は大人になってからこの本を読みましたが、もし中学生のときに読んだらどう感じていたでしょうか。それを知ることは永遠にできません。ただ確かなのは、この本が「思春期に読み損なっても、それから何十年もたっても、絶対読むべき本」であるということです。
- 作者: ヘルマンヘッセ,Hermann Hesse,実吉捷郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1958/01/07
- メディア: 文庫
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