北野的読書日記

岩波文庫を中心に、読んだ本の感想を書いていきます。よろしくお願いします。

「方法序説」デカルト

「われ思う、ゆえに我あり」

この言葉は誰でも知ってますよね。この考え方が出てくるのが本著です。
人々が真理を見つけるための方法を記しました。これが本著です。なので「方法序説」というタイトルです。

デカルトは真理を見つけるためには、正しいかどうかが疑わしいものはとりあえず取り除こうと考えます(方法的懐疑)。そうして残ったものは真理であるし、疑わしいものはじっくり検証しようと考えます。
疑わしいものはたくさんあるけど、こうして自分が考えているってことだけは疑いようがないですよね、というのが

「われ思う、ゆえに我あり」

です。

哲学という言葉には、難解なもの、そのくせ実用的ではないもの等のイメージがあります。
この本を読むに際して、僕はすごくビビってました。理解不能で眠くなるのではないかと。
でも、内容はじっくり読めばちゃんと理解できるし、デカルトのストイックさというか真面目さが伝わってきて、すごく楽しめました。結構、自己啓発系の本が好きなので…

「われ思う〜」が有名過ぎますが、この本には他にも素敵な思考が詰まっています。
あらゆるものに対して懐疑的な姿勢でのぞむとしたら、日常の生活に支障をきたしそう…そこでデカルトは、判断を保留にしたとしても行為は停止しないよう、幸福に生きられるよう、3つのルールを決めます。

① 法律と慣習に従う

② 一度やると決めたら、信じてやる

③ 環境ではなく、自分自身を変える(運命よりも自分に打ち克つ)

特に③なんて秀逸です。自己啓発本に同じことが書いてありましたけど、何百年も前にデカルトは実践していたんですね。

この本を読んで、デカルトの真摯さ、それゆえの孤独…様々なことを感じました。今、「近代哲学の父」を身近に、親しく感じています。
方法序説 (岩波文庫)

方法序説 (岩波文庫)