北野的読書日記

岩波文庫を中心に、読んだ本の感想を書いていきます。よろしくお願いします。

「生の短さについて」セネカ

岩波文庫、一冊目はローマの思想家セネカの著書です。
この本を選んだのは自分の焦燥感(なんか知らないうちに33になってしまった!)とタイトルがマッチしていたのと、いかにも岩波文庫っぽかったからです。

「人生は短い」はよく聞かれる言葉です。しかし、セネカは人生が短いのではなく、人がつまらないことに時間を浪費するから、結果として短くなってしまうのだ、と説きます。
セネカの言うつまらないこととは、欲望に支配されてしまうことや日々のルーチンワークなど、僕の生活を占めるまあまあいろいろです…
セネカは「そんな仕事、君じゃなくても代わりはいるだろ?何かもっと意味のあることをしなさい。哲学とかしなさい。」というようなことを説いています。
僕の仕事なんて、確かに代わりはいくらでもいると思います。ただ、セネカの考えを安直に実践してしまうと、僕と家族は大変なことになると思います。

セネカはこうも言っています。
「時間は流れる川のようなもの。そこから大切なものをすくい取らないといけないよ。」
川の流れを全てすくい取ることはできません。人生において、無駄だと思えるものが存在するのを、セネカは受け入れていると僕は思いました。

とりあえず今の仕事は続けてもいいとして、では僕が川の流れからすくうべきものは一体何でしょう。
セネカは「哲学」という言葉を使っていましたが、つまるところそれは、より良く生きるために一生懸命考える、ってことなのかなと思います。

誰にでもできることにセネカは価値を認めていません。じゃあ僕にしかできないことってなんだろう…

なんだろう…

ありました。

僕の子どもをとびきり笑顔にすること。家族を喜ばすこと。これは僕にしかできません。セネカにも、オバマにも、ダルビッシュにもできません。
家族や仕事仲間、友達など、僕のまわりの人と誠実に向きあうことは、僕にしかできないことです。

と、本の主旨からはだいぶ脱線している感はありますが、そんなことをこの本を読んで考えました。

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)